ANAビジネスソリューション株式会社 人材サービス

登録(無料)

menu

メニューを閉じる

スペシャルコラム

TOKYO

羽田空港と働く女性

京浜急行の改札口を出ると、そこには大きな吹き抜けの空間が私を待っていました。きらびやかな日差しと、打ち寄せる波打ち際のようなアーチを描いたアプローチは、時の旅人たちを祝福してくれているようです。人が作り出した空の港、羽田。にもかかわらず、人工的な匂いがしないことが人気の秘密なのかもしれません。
「配慮」という言葉を辞書で調べると「こころを配る、他人や物事に気を使う」とあります。これを実行することは難しいことです。たしかにうわべの配慮はどこでも見ることができます。例えば、お店で店員さんが投げかける笑顔。これはマニュアル通りの作業です。でも、羽田空港の第2ターミナルには、そうしたマニュアルを超越した配慮がされていました。

エスカレーター

出発ロビーまであがるエスカレーターが旅の入り口

吹き抜けの空間を囲むように並ぶカフェテリアとレストラン。そこでランチを終えた私は、トイレに行こうとしました。 案内板に従って、入り口をくぐると、小さなガラス張りの部屋があります。そこには「喫煙ルーム」の文字が書かれています。禁煙ムードがおさかんな今日このごろ、どうしてなのかと疑問に思いました。 喫煙家は、今やごく少数のはず。男性のトイレにはあっても、まさか女性のほうまではないだろう。これが私の予想でした。でも、うれしい期待はずれの結果が待っていたのです。女性側にも、「喫煙ルーム」があったのです。ゆったりとした室内に、スツールとベンチが置いてある光の差し込むガラス張りの部屋。そのとき、私は配慮という言葉を思い出したのです。ごく少数の人が過ごせるような心遣い。これは簡単にはできない配慮ではないでしょうか?

吹き抜け

全てのフロアーから見下ろすことができる吹き抜け

喫煙者専用ボックス

トイレに併設される喫煙者専用ボックス(女性用)

第2ターミナルにあるこうした配慮は、業務の窓口にも反映されています。各エスカレーターまわりに配置された女性スタッフ共々、周囲を歩く訪問者の動きに余念がありません。つねに不備はないか、目で追っているのがわかります。そして、用事のある方には笑顔で親切な対応。

細かい部分にまで行き届いた「配慮」は、2階から上にあるショップにも伝達されているようで店員さんたちは、決して押し売りではなく、気持ちよくショッピングができるように心がけているのです。

ロビー

旅立つ者、家路につく者、全員に笑顔が溢れるロビー

屋上の展望台にはたくさんの家族連れやカップルがいました。
まっすぐに伸びる滑走路には、離着陸する銀色の翼を広げたジャンボジェット機が君臨しています。
そこにいる誰もがジャンボジェット機の機影を追いかけていました。その瞳には、「夢」という言葉が宿っているように輝いています。大空への憧れは、いつになっても潰えるものではなかったのです。

滑走路

海まで見渡せる滑走路にはANAの旅客機が並ぶ

私が空港に抱いていたイメージとは、単なる空の玄関という程度のものでした。しかし、ゆっくり周囲を見てみると、この空の玄関であることを当たり前にするためには、驚くほど繊細な配慮がなされていました。そして、この配慮という真心が、空に対する憧れを胸に抱いてきた訪問者へと、優しく囁きかけられているのです。 羽田空港第2ターミナルには、いつも真心が通っている柔らかな空気がある。この空気こそ、自然と足を運んでしまう要因となっているのです。そして私は、再びこのターミナルへと足を運ぼうと思うのでした。

記事一覧へ